雑貨力を存分に発揮する
ギフトプレミアム誌: コロナ禍において、“流通のスクランブル”ともいえる状況が加速化していると思いますか?
富本雅人: 雑貨・ギフトに限らずさまざまな商品分野のミックス(スクランブル)化がさらに加速していると思います。
私が20年以上前からお話ししているのは、「雑貨力®」。それは雑貨商品をいろんな分野で取り入れ実感できるメリットのことです。例えば小売店の場合は、入店客数が増える、店内の滞留時間が長くなる、買い上げ点数が増え、客単価が上がるなど。
“雑貨”として括られている、文具やファッション小物、キッチン雑貨に食器類、おもちゃ等を既存の売場に取り入れることによって販売チャンスを広げることができます。その状況は現在でも変わりませんね。
この際雑貨にチャレンジ
コロナ禍での消費者の自粛、来店機会の減少で売上が低迷し、その対策として雑貨をはじめとする異分野の商品を取り入れてみる、ということは各分野の業種店で、より増えてきたと思います。
平時ではなかなか新しい事にチャレンジすることがない「腰が重い」企業さんも、「この際できることは何でもトライしてみよう」という感じでしょうか。
店頭を、“雑貨店”のようにして入店し易くする工夫。
店舗として気軽に入店してもらい、たとえ数百円のものでも買い物をしてもらい、本業との接点を作る工夫。
サービス業店、アミューズメント店、飲食店、美容院など様々な業種で雑貨(商品、売場)の効果が発揮されています。
雑貨で集客を。業者まかせにしない
ギフト誌: 雑貨というのは、業績不振と言われている業界から、“客寄せパンダ”として使われことが多いですね。
富本: そうですね。話題性や新規性、他店との差別化に事欠かないのが“雑貨力”ですから。
試しにちょっと仕入れてやってみた。業者に任せてコーナーをつくってみた。販売員が個人の趣味で選んだなど「雑貨くらい簡単!」というような意識のところではなかなか厳しいですが。
有名なアパレルショップでも、著名プロデューサーに任せてコーナーを作り、当初話題性はあったけど、いつのまにかしりすぼみ。半年後に跡形もないなんてこともありますし。
ファッション店、はやりの飲食店等に足繁く通うお客様はよく商品を知っています。“客寄せパンダ”だけで終わらせず、雑貨自体でもしっかりと利益を出しているところは、お客様以上に市場を知っている、商品に自体に関する知識欲も旺盛、業者まかせにしない意識などがあり大変勉強熱心ですね。
そして既存の本業とのミックスでどう稼いでいくかなどの計画が明快なところが多いと思います。雑貨に限らず当たり前ばかりですが、せっかくの雑貨商品のポテンシャルを最大限活かせるのはそういった心構えの企業・店舗だと思います(談)。
注)「雑貨力」は富本氏の登録商標「登録番号:第6013753号」
ギフトプレミアム誌2021年7月 http://www.giftbook.co.jp